読書メモ・注釈

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フローベールの「サン・ピエトロ・オルナノ」を読む (初期作品①/全集6巻)

2/14/19(木)、フローベールの「サン・ピエトロ・オルナノド」を読み終える。1835年~1936年とあるので、本人14~15歳時の作品である。

 

サン・ピエトロ・オルナノとは、名をはせた海賊である。場面は、コルシカのジェノアだ。フランスの名代として、ジェノアの総督に迫る、そんな物語だが、オルナノは、総督の娘ヴァニナを欲しがっている。

総督が、娘のヴァニナを自分に譲ってくれれば、ジェノアを攻撃しない、そのような取引条件を出す。しかし、総督はそれを激しく拒む。ジェノアが陥落したとしても、娘のヴァニナを手放すつもりはない。

物語は緊迫し始めるが、そこは、海賊オルナノ、真夜中に覆面をしてコルシカ島に上陸をして、娘ヴァニナを奪い取る。ヴァニナは、悲しむも、しばらくすると、オルナノさえ情を感じるようになる。

そして、決戦の日を迎えるが、総督の娘ヴァニナであり、しかも、海賊オルナノの女でもあるヴァニナが、ある解決、いわばソリューションを行い、物語は結末を迎える。

 

総督は、後年書かれる『サランボー』のカルタゴの大将ハミルカルを彷彿とさせる。海賊オルナノは、まさに戦士マト―であり、娘ヴァニナはサランボーである。作家フローベールは、このモチーフを後年、完成させていくのだが、彼の心には脈々とこうしたテーマが流れていたのであろうか?