読書メモ・注釈

文学など理解用の読書メモです。

仕事(経済)と趣味(人間)の対立

今読んでるバートン版の『アラビアンナイト』(Kindle)は、三巻の1をまもなく読み終える。この頃の王さまは、恋をしてままならぬと、病気にもなるほどである。恋の相手に対しては美辞麗句、しかし、部下の手下が仕出かす失策に対しては、王子も妃も、その場で部下の首を落としてしまう。『ティール組織』のまさに「衝動型パラダイム」だ。

あとは、國部克彦氏の『アカウンタビリティから経済倫理へ』を少し読んだ。経済を中心とした社会から、人間を中心とした社会に変えないといけない。その中心にある会計を何とかしないと行けない、と言う。無形資産を会計の中に入れないといけないとする『会計の再生』とは視点が異なり、ハバーマスとかデリダとか、哲学的な議論には含蓄があり、勉強せんとなあ、と思った。

『何をしてもうまくいく人のシンプルな習慣』を拾い読みしているが、これは、ジャック・ラカンなど、斜に構えたエクリチュールを好む自分としては、『嫌われる勇気』などの本と同様に、嫌いであったのだが、でも、姿勢や好みは違うとしても、人はポジティブであるに、それはこしたことがないなあ、と思いながら拾い読み。

ラカン精神分析』と『ドゥルーズ入門』で、ジャック・ラカンジル・ドゥルーズの考え方を理解しようとしているが、素人独習ゆえに、まだまだ。


◆ 松方コレクション〜 その二
松方コレクションは、先の投稿でメモったが、印象的だったのは、ムンクの絵画4点のうち、ストリンドベリという劇作家の自画像、それと女、吸血鬼の3点だった。

と言うより、音声ガイドで聞いたムンクの前半生かも知れない。苦い恋愛経験と、もうひとつが家庭内の事であり、こちらが重要なのであろうが、忘れてしまう。

ただしこれはこの2つの経験が、後年の「叫び」に繋がったような、ないような。作者の実人生の経験が、如実に作品に現れていくという面では、コレクションで展示されていたモネなど印象派よりは、私にとっては分かりやすく思う。

例えば、それは実存哲学者のキルケゴールの実人生と一連の作品(「死に至る病」)、カフカヴィトゲンシュタインなどが浮かんだ。

ムンクにとって、絵画を描くということは、精神分析ジャック・ラカンが言う「サントーム(症状)」という事で、心の安定としての3つの環の欠損を補う「ボロメオの環」であったのかも知れない、と、まあ、解未消化の解説書でかじった考えが結びついて浮かんだ。

 

◆「事事無礙」と『差異と反復』

落合陽一の『デジタルネイチャー』の本全体の中で照会される井筒俊彦の「事事無礙・理理無礙」(『コスモスとアンチコスモス』)を読んでいて、ジル・ドゥルーズの固体が発生していく様が浮かび、檜垣立哉の『ドゥルーズ入門』を再読し始めた。

井筒俊彦の考え方と、ほぼ同じようにであるように感じているが、用語難しく頭でピンとこない部分もある。何とか理解したいとは思う。

同様に、ジャック・ラカンが、「ワカラン」と言われているように、魅力的なのだが、ワカラン。今日は昨年読み指していた片岡一竹氏の『新疾風怒濤精神分析用語辞典』を改めて引っ張りだし、「鏡像段階」から読み進めた。

ナルシスが水に浮かぶ自分の顔を見て、恋をする逸話だ。ここで、ナルシスは、水に映る自分を愛の対象とする。読んだときはピンときた。今はそうでもないな。

 

◆経済(仕事)と人間(趣味)の対立

とにかく、「理解」しないことには次に行けない。仕事でないからという理由で、これまで脇にそらしていた。まあ、でもでも、振替ってみて、格闘しても理解できていたかどうか。今は、よき解説本もあるし、廻り合いに感謝しなくては。

とすると、仕事の読書も、趣味の読書も同じことになるなあ!

理解して、自分と言う「情報プロテイン媒体」の中でミキシングしてアウトプットしていくと言うことになる。じゃあ、その違いは何かと言うと、経済と人間ということになる。

それを私は、「経済は仕事」で、「人間は趣味」と区分していることになる。では、どうして、私はそれを区分して、これまでの読書をしてきたのか、ということになる。

仕事をしている時は、経済を優先し、人間を抑制してきたのだ。言い換えれば、趣味を抑制してきたのだ。他方で、お休みの時は、人間・趣味を優先し、経済・仕事を忘れる。ワークアンドバランス、矛盾の世界である。

この事を会計的なアプローチで進めているのが、國部克彦氏の『アカウンタビリティから経済倫理へ』じゃないのかな。経済のみの会計から人間の会計へと。落合洋一の『日本再興戦略』も、そうした経済(仕事)と人間(趣味)の二項対立を乗り越え、ワークライフバランスじゃなくて、ワークアズライフを目指している。

わかっちゃいるけど、先ずは、経済も人間も一つひとつ理解しないとなと思う。