読書メモ・注釈

文学など理解用の読書メモです。

フロベールの『感情教育(下)』を読み始める

フロベールの三作目の長編『感情教育』下巻を数日前(11/18/18)から読み始める。

 

1850年近辺のパリを中心とした青年フレデリックの物語。文字通り、青年の「感情教育」だ、と思う。恋あり、欲望あり、裏切りあり、学問あり、想いをぶつけての、「ああ、シマッタ、シマッタ!!」と赤面し、強がる青年の後悔・自信のアップダウンの「感情教育だ。

 

感情教育』のフロベールは、一作目の『ボヴァリー夫人』、更に、古代カルタゴ戦争の二作目の『サランボー』を書き上げ、乗り越えた後のフロベールであると思った。

 

実人生のフロベールとは違うのかも知れない。

 

けれども、フロベールは、作品を通じ、三度イノベーションを行い、三度自分を「変転」(メタモルフォーゼ)させるそこにいるのは、一作目の『ボヴァリー夫人』のフロベールではない。フロベールであって、フロベールではない。

 

フロベールは、小説をまとめることで、過去の自分を乗り越える。三作目の『感情教育』を読めば、それを少し感じることができる。勝手に思う。

 

分厚いので、三度、変転(メタモルフォーゼ)したフロベールを、最後まで感じられるか、分からない。込み入った描写に、時々眠くなってしまうからだ。長編だと、時間かかる。体調悪いと、読みづらくなる。ところが、諦めかけた所で、突然の筋の盛上りで、思わず、眠気が覚め、物語の中に入り込む事が出来る。

 

有り難いのは、すぐれた新訳と、Kindleの恩恵を受けていることだ。昔より、今がどんだけ良いか‼️Gになれば、もっと凄いかも。それ以上に、作者フロベールそのひとの凄さだ努力・節制し、時間を作り、読み進めるしかない。居酒屋で管巻くと、物語から遠ざかってしまう。

 

感情教育(下) (古典新訳文庫)

感情教育(下) (古典新訳文庫)