読書メモ・注釈

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フローベールの「この香を嗅げ~一名、大道曲芸師のむれ」を読む (初期作品①/全集6巻)

2/22/19(金)、フローベールの「この香を嗅げ~一名、大道曲芸師のむれ」を読み終える。1836年4月1日とあるので、本人14歳時(1821年12月12日)の作品である。

 

「この香を嗅げ」という時の「この香」とは、大道曲芸師マルグリットがかぐべき「香」という作者の説明書きがなされている。

 

この物語では、皆からバカにされ、自分の夫ペドリョからも暴力(今で言うDV)を振われる、歯の抜けた醜い女曲芸師の不幸な後半生が描かれる。最期は、その不幸に耐えかねて、セーヌ川に身を投げて最後を遂げることになるが、作者フローベールは、マルグリットの嫉妬と、愛する夫に裏切られ屠られる不幸をどこまでも描き続ける。

 

マルグリットは、夫ペドリョとの間には、オーギュスト、エルネスト、ガロファーの三人の息子がいる。しかし、夫ペドリョは、同じ大道曲芸一座のイザンバールの妹イザベラダに横恋慕し、子供さえもうけてしまう。マルグリットの嫉妬はいかばかりか。その苦悩が描かれる。